2026年4~6月活動報告「先買い型モデル実証検討へ」

「新鮮なうちに、できるだけ早く」。

・・食の世界では旬のものをより早くお届けすることに一定の価値が置かれてきました。今回、さきがいマルシェが大切にしたいのは、逆に産品が手もとに届くまでの「待つ時間」そのものの豊かさです。

収穫の前に先に買って応援する「先買い(さきがい)」という関わり方を通じて、生産者、食品関連の事業者、消費者、そして地域が、その時間や体験を分かち合いながら食をテーマに繫がる仕組みづくりを進めています。

目次

1. 先払い型応援モデルをテーマにした研修会を開催(5月28日)

開催概要

日時:2026年5月28日(木)15:00〜17:00
会場:東海大学 熊本キャンパス / オンライン(Zoom)配信
主催:くまもとローカルフードプロジェクト

2026年5月28日、東海大学熊本キャンパスメイン会場にオンラインも併用しながら第1回研修会を開催。

生産・流通・飲食など、食にたずさわるさまざまな立場の方が参加し、国が進める持続可能な食料システムづくりへの理解を深めながら、私たちが取り組む「先払い型応援モデル(先買い)」の可能性を議論しました。

  1.  地域の食と事業をつなぐ全国的な連携プラットフォームのご紹介
     (株式会社船井総合研究所 伊藤 順 氏)
  2. 「食料システム法」と計画認定制度の概要
     (農林水産省 川添 英記 氏)
  3. 先払い型応援モデルと、これからの産地経営をめぐる対談
    (東海大学 教授 今川 和彦 氏、東海大学 客員教授 大江 貴志 氏、株式会社DX経営研究所 中尾 克代 氏)

「作ってから売る」を、逆にしてみる

まずは、全国プラットフォーム事務局から、今年度はLFP間の連携を強化しながら、プロジェクト支援を進めていく旨のお話を頂いた後、農林水産省からは、「食料システム法」と計画認定制度について解説。本制度は生産から加工、流通、消費までを持続的につなぎ、かかったコストを適正に価格へ反映していくための土台となる制度です。

前半では、作ったものを売る「プロダクトアウト」の視点ではなく、サプライチェーン全体の視点で連携しながら買い手を募り、そのニーズに応じて育てて商品を販売する。順番を入れ替えるだけで、生産者は見通しを持って育てられ、消費者は確かな産品をあらかじめ手にできる。こうした顧客視点で農業を設計しながら生産を考えるやりかたが産地のこれからを支える一手になりうるというお話がありました。

「待つ時間」も、ごちそうになる

また、後半の対談で共有されたのは、昨年サツマイモや赤牛(あかうし)で試すなかで得た、意外な手ごたえでした。お届けまでの時間が長いほど、お客さまはむしろ心待ちにしてくださるケースがある——という点です。

「一日でも早く、いちばんよい状態で届けることに価値がある」そう思い込んでいた私たちにとって、これは発見でした。収穫を待つあいだのワクワク、季節の巡りをともに感じるよろこび、産地とつながっていく実感。その一つひとつが、食を豊かにする体験になりうる。今年度実証を進めることになった「さきがいマルシェ」が「時間」を大切にする理由がここにあります。

価格ではなく、共感でつながる

産地名でひとくくりにされ、価格だけで選ばれてしまう。多くの生産者が抱えるこの悩みに対して、対談では「誰が、どんな想いで、どう育てたのか」を丁寧に伝えることの意味が話し合われました。

作り手の顔と物語が見えたとき、食べる人は価格の比較を超えて、応援したい・また食べたいという気持ちでつながっていく。会場の生産者からも実感のこもった声が寄せられ、産地と生活者のこれからの関係を見つめ直す時間となりました。

2. サービスの磨き上げに向けた分科会を開催(6月22日)

6月22日には、研修会で共有した考え方を実際のサービスへと磨き上げる分科会を、関係者とともに開きました。どの産品から始めるのか。どんな手順でお客さまのもとへ届けるのか。体験の設計はどうすべきか?

買ってくださった方に、待つ時間をどう楽しんでいただくのかについても、単体の商品では提供できる体験価値や産品に限界があったり、季節に応じて消費者とつなぐコンテンツが無くなってしまう・・・こうした研修会で見えてきたことを、ひとつずつ具体的なかたちに落とし込んでいく、現場視点での議論の一日となりました。

3. 今後について

消費者と産地を食を通じてつなげていく「さきがいマルシェ」は、この夏の本格的なスタートに向けて動いています。

熊本の風土がゆっくりと育てた産品を、「先に買って、じっくり待つ」。そんな新しい応援のかたちを、まもなくご案内できるよう歩んでまいります。続報を、楽しみにお待ちいただけたら幸いです。

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